地下鉄で…

夏のある日、俺は納期に追われて先輩と二人で残業してた。
突然先輩が「なんか変な声がしない?」と言い出した。
「そうか?俺には聞こえないけど」と答えると、「いや、するって。女のすすり泣くような…」と答える。
俺はキーボードを打つ手をとめ、耳を澄ました。
そんな声は聞こえなかったが、かわりにゴロゴロと遠くで音がした。
…雷だ。

雷は怖い。
停電になったら打ち込んだデータは消えてしまうし、マザーボードがやられる危険性もある。
仕事のめどはいまいちつかなかったが、仕事を切り上げ、帰ることにした。

先輩は一人で帰るのを怖がったが、あいにく帰る方向は逆方向だ。
会社の前で別れ、俺は栄駅から名城線に乗った。
今日も疲れたな、とため息をついていると、ぽつぽつと音がする。
「雨かよ…傘持ってきてねーや」
俺は舌打ちし、俺が降りる日比野からはファミリーマートとローソンのどちらが近かったか考えた。
そうしているうちに、金山に着いた。夜は新瑞橋行きのみになってしまうので乗り換えなければならない。
俺はホームに降りた。





そこでふと気が付いた。
地下鉄で雨?

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