無線塔

俺が中一の時の話っす。
俺の中学は養護クラスというのが各学年に一つずつあって、そこは障害を持った子供達が集まるクラスだった。
そのクラスの一人にS君という子が居て、たまにおかしな事をしゃべったりするので俺と友達とで面白がってよくS君と一緒に遊んだりしていた。
で、夏休みになり、また遊ぼうということになり他の友人2名とS君とで一緒に俺の家でテレビゲームで遊んでいたのだが夕方になり飽きてきた頃に誰かが「無線塔行こうぜ」と言い出した。

無線塔というのは、戦時中に建てられたらしい二階建ての無線の中継基地のことで当時は既に使われていなく昼間でも中は真っ暗で肝試しにぴったりだった。
俺と他の友人は「行こう行こう!」と言ったのだが、S君が異様に嫌がっていた。
俺と友達は説得したのだがS君はなかなか「うん」と言ってくれなかった。
腹が立ってきた俺が「来なかったらもう一緒に遊んでやんねーぞ!」と言うとS君は渋々付いてくることになった。
無線塔に着いた頃には辺りは既に薄暗くなっていた。S君は「もう帰ろうよ・・・」と言っていたのだが俺と友達は、ここまで来たら帰るわけにはいかないと勇気を振り絞って無線塔の裏手に回った。 入り口は南京錠がかかっているのだが、裏手の窓が割れていて、そこから入ることができた。中に入ると、やはり真っ暗で何も見えない。
懐中電灯を点けて、俺と友人は恐る恐る進んでいき、S君はビクビクしながら後を付いて来た。途中にヤンキーの落書き等があり俺と友人は「おぉ〜怖ぇぇ」とはしゃぎながら奥に歩いていった。 階段で二階に上がり、20〜30分ぐらい歩き回ったが結局何も出なかった。 もう帰ろうかということになり後ろを振り返るとS君がいなかった。 辺りを見回してもS君はいなかった。 俺と友人が焦って二階を探し回ったがいない。 一階を探そうということになり、階段を下りようとした時、階段の真ん中の踊り場にS君がいた。S君は踊り場から降りたとこにある壁を直立不動で見つめていた。 俺と友達がS君に近づいて、何かしゃべっていたがS君は返事しながら目線だけそらさず、ずーっと壁を見つめていた。 俺と友達は半分怒ってS君を外に連れ出し、怒っていたがS君は「ゴメン・・・」しか言わず結局気まずいまま家に帰った。 S君がなんで壁を見つめていたのか気になったがなんとなく気味が悪くて聞けなかった。 それ以来無線塔には行ってないっす。
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